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マンガの中の魔法使い~ドクター・ストレンジ

映画 マンガ

先日、「ドクター・ストレンジ」を観てきました。

想像よりも凄い映像体験でしたし、個人的には事前の予想を良い意味で裏切ってくれました。

そのあたりの個人的な雑感を書いておきます。ネタバレは少なめ。トレーラームービーくらいw。

 

事前情報をなるべくカットしていたので知っていたのは

・主人公は現代に生きる魔法使いで、才能があって魔法使いに入門後わりとすぐに大魔法使いに任命される。

・トレーラーフィルムにある、ビル街がくるくる丸まっていくやつ。インセプションかな?(とこの時は思っていた。)

・手の先の空中に描かれた手の動きに追随するオレンジの小さな魔方陣。アメコミだしこれで殴りそうw。(とこの時は思っていた。)

くらいでしょうか。

 

・国産の魔法使いのマンガ

マンガに出てくる魔法使いをらしく見せている要素って何だろう?と見る前にぼんやりと考えていました。

とはいえ魔法使いが主人公、または主人公サイドに居るマンガってそんなに多くないし、ファンタジーRPGめいた話がほとんどでしょうか。

おっさんとしてはマンガでは子供の頃に読んだ週刊少年ジャンプの「バスタード!」が印象に残っています。

ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズをベースにオリジナル設定の戦乱の世界を舞台とし、主人公の悪の魔法使いダーク・シュナイダーが第二の主人公である少女ヨーコの管理下で活躍する話です。

かつて世界征服をもくろんで世界へ戦争を仕掛けた最強の魔法使いなのですが、伝説の竜戦士と相討ちになります。ひそかに赤子の中へ転生したものの大神官に見つかりその子供の身体に封印されてしまいます。この少年の保護者が姉として面倒を見てきた大神官の娘ヨーコで、封印をといて青年の姿のダーク・シュナイダーに変身してもヨーコには逆らえない、という。ちょっと「三つ目がとおる」みたいですねw。

魔法使いとしてはカタカナの造語と祝詞のような日本語を交えた呪文の詠唱が特徴で、詠唱が完了すると手の先などから強大な謎の魔法ビームwが出たりします。

そんな感じで物語のパターンは危機→変身→魔法で敵を倒すという感じでウルトラマンなどのヒーロー物のようなパターンを基本としつつ、次々に現れる敵と戦っていきます。

この中二心をくすぐる呪文の詠唱というガジェットと、自分本位でうぬぼれが強くて破壊的でこの世のために力を使うということにまったく興味がない主人公のカオティックな性格が少年漫画の主人公としては斬新で(魔法使いとしてはアリだと思いますw)、その頃の色んなマンガに影響を与えていたのを覚えています。

 

・魔法使いっぽさ

こうして思い返すとダーク・シュナイダーは魔法使いといわれて思い出すガンダルフのような賢者然とした姿ではないし、戦い方も正面きって魔法でぶちのめす感じで、そのスタイルはまるで戦士のようです。

こいつに魔法使いっぽさを感じるのはなぜだろう?と思ったんですが、実は彼はこの世界の知られざる歴史に通じているのです。

わりと初期の頃から物語の舞台は、この世界の文明が滅びたあとの未来の世界であることが描写されています。ニンジャマスター・ガラの砦が崩れたビル街の奥にあるとか、眠る邪神の描写がギーガーのアートの模写で、つまりは生物と機械のハイブリッドが存在する事とか、この国の通貨が円なんて小ネタも。

この世界の住人達はそれには興味はないようです。知る術もないので、というところでしょうか。

しかしその世界の滅ぶ前、科学がそれこそ魔法のように進んでいた時代に巨大な生物兵器群(この世界にはびこるモンスターたちの原種)を開発していた十賢者という科学者がいて、ほぼ不死である彼らは第二部で主人公達ににコンタクトをとってきます。訳が分からない仲間達を置いてけぼりにして、おそらく同時代から生きていたダーク・シュナイダーは十賢者と口論します。

僕としては、表向きはどんなスタイルで戦ったりしていても、この世界の現状に通じる秘密を体験してきたかのように知っているという所に魔法使いっぽさを感じるようです。

 

・ストレンジの世界の魔法使い

ドクター・ストレンジの世界の魔法使いは東洋の神秘といったたたずまいで、カトマンズで作務衣みたいな服を着て修行したりします。

厳密には東洋だけでなく世界中のさまざまな魔法のイメージのハイブリッドといった感じ。

魔法で空中に描いた例のオレンジの魔方陣を色んな武器に変形させたりして戦ったり結構武闘派。

大分想像と違いました。事前に見た映像では高襟のマントとか着てたし、西洋の魔術師やそういう魔術師が出てくるRPG的なものとはけっこう世界が違うよなこれw…?

あと、空間を操るのが得意です。特に現実と平行して存在する鏡の世界という異次元ではこの力は派手に働き、戦いにおいて敵を翻弄します。例のビルが持ち上がる映像。あれはパタパタと折りたたまれたり、スライドしたり、また開いたりという細かい動きの積み重なりがやがてビル街全体に及ぶという映像の一部カットだったんです。

例えるなら、万華鏡の中で戦っている感じです。

空間だけでなく、やがて時間にも干渉をしだすのですがその話は措いておく。

 

で、ここの魔法使いたちは暗黒の異次元からの干渉や敵の侵攻を食い止めている勢力で、この世界というよりは異次元に通じている感。

この世界にとどまらず異次元にも旅する魔法使いの話というのも古くからファンタジーで見かける要素ですが、異次元というのはぐちゃぐちゃで奇妙でこの世の常識が通じない世界という描写が多くて、ファンタジー物語でもSFやホラー寄りの恐ろしいエピソードが多いイメージを持っています。クトゥルフ神話の世界の魔術師とかも異次元の研究者は多いかと。

ちょっとファンタジーRPGの魔法使いばかりを想像していた身としては古き良きパルプSF方向の設定は嬉しい裏切られ方でした。

 

・魔法使いの戦い方

クトゥルフ神話っぽい宇宙規模の存在についても話されるんですが、そいつに魔方陣パンチくらわせたり魔方陣武器でどつき倒したりするんだろうか?世界の秘密に通じていてもこの高襟マントとヒゲの魔法使いにはそういうマッチョな事をして欲しくないなあwと初めは観ていましたw。

しかしラスボスとの戦いはマーベルの映画シリーズでは斬新な戦い方でした。異次元に旅して異次元の強大な存在にアクセスする魔法使いの戦い方としては、これは良いんじゃないでしょうか。面白かったです。

本編ではアベンジャーズの語は出てきても絡みは皆無で、かなり独立した存在みたいです。ほっとくと独りで戦い続けるようなその立ち位置も魔法使いっぽいですねw。

 

・サイケな映像

それにしても僕は映像酔いはしないのですがこれは2Dでも軽く脳を揺さぶられた感じがしました。

3D映画で観たら本当に素晴らしいと思いますが、観られる方は体調は万全にして挑みましょうw。

 サントラにピンクフロイドも参加しているし、サイケな作品であるということは間違いないんじゃなかろうかw。

あのディズニー配給でファミリー鑑賞も視野に入れているであろうにこんなサイケな映像出しちゃうとはw…なんて思ってましたけど、ディズニーは像が空飛ぶアニメーションといった凄いサイケデリックな映像をいくつもリリースしている会社だしなー。いいぞもっとやれw。

マーベル制作の映画シリーズとしてはアントマンにも通じる独立性を感じさせられてちょっと独特のポジション。

色々と捻られたヒーロームービー、面白かったです。